自分のありのままを受け入れ、安全・安心を自分の中で育み、平常心を保てるようにするのが、まともな認知行動療法です。カルト宗教はこの正反対のことをします。今を否定し、不安を煽り、恐怖心を植え付け、冷静さを失わせ、カルト宗教にあらがうことができないようにします。カルト宗教に騙されてほしくないという気持ちがベースにあり、このテーマを取り上げました。
メンタルセルフケアのためのリラクゼーション
自律神経には、活発に体を動かすための交感神経と体を休ませるための副交感神経があります。交感神経は、呼吸数、心拍数を上げ、皮膚や胃腸への血液の流れを抑え、筋肉に、より多くの血液が流れるように働きます。筋肉が活発に動くと、熱が発散されるため、体温が上昇しないよう発汗も促します。副交感神経は、交感神経とは逆に、呼吸数、心拍数を下げ、胃腸への血液の流れを増やし、摂取した食物の消化・吸収を促します。筋肉の緊張も和らげます。
強いストレスを感じた時、すぐにでも行動(闘争または逃走)に移せるよう体に準備させる反応を引き起こすのも交感神経で、交感神経が興奮すると、闘争に駆り立てる怒り、逃走を促す恐怖心・不安感・緊張感などの感情も惹起されます。ストレスが長期間続くと、ストレスがない時でも交感神経が興奮を止めなくなってしまいます。そのため寝ようと思ってもなかなか寝付けない、眠れても眠りが深くならず夜間目が覚めてしまうのです。
このような状態では、怒り、恐怖、不安、緊張などの感情も増幅されていきます。交感神経の興奮を抑えようとして、副交感神経も興奮し続けます。やがて、交感神経、副交感神経共に疲れてしまい、交感神経と副交感神経はバランスよく働けなくなってしまいます。これが自律神経失調症の病態であり、何もする気力が起きない抑うつ気分に陥っていきます。
発汗は交感神経の興奮により促進されるので、長時間汗をかいていると、自律神経は疲れてしまいます。夏バテ≒自律神経失調症です。胃腸の働きが落ち、食欲がなくなると、自律神経を回復させるために必要な栄養を摂取できなくなるため、夏バテ≒自律神経失調症は悪化していきます。
以下で、交感神経と副交感神経のバランスを回復するためのセルフケアの方法について説明します。
自律訓練法
ドイツの精神科医Schultzによって創設された自己催眠・リラクゼーション技法で
運動選手のメンタルトレーニングにも取り入れられています。
軽く目を閉じた状態で,決まった言葉(言語公式)を呪文のように唱えます。声は出さずに心の中で繰り返すようにします。言語公式には次の7種類があります。
背景公式「気持ちが落ち着いている」
第1公式「右腕が重たい⇛左腕が重たい⇛両脚が重たい」
第2公式「右腕が温かい⇛左腕が温かい⇛両脚が温かい」
第3公式「心臓が規則正しく打っている」
第4公式「楽に息をしている」
第5公式「お腹が温かい」
第6公式「額が心地よく涼しい」
最後に背伸びをします。リラックスできる姿勢で試しましょう! ソファーにゆったり座るのでも、大の字に寝るのもOK
自律訓練法を行う際の留意点(九州大学心療内科)
背景公式「気持ちが落ち着いている」
身体を締め付けているものをゆるめてから始めます。
意識して簡単に抜ける力は,体を揺すりながら抜きます。
落ち着きにくい時には数回繰り返してみたら,次の公式へ移ります。
草原にゆったり寝転んでいるところをイメージするなど,補助的な手段を用いると効果が上がることがあります。
第1公式「右腕が重たい⇛左腕が重たい⇛両脚が重たい」
利き腕から始めます。
筋肉がゆるんで,だらんとしていると感じます。
無理に重たくしようとせず,どのような感覚が起こるか興味をもってながめるという気持ちで行います。
重たくしようとしてしまうと,かえって力が入り緊張してしまいます。
第2公式「右腕が温かい⇛左腕が温かい⇛両脚が温かい」
第1公式で感じた重たさに意識を向けながら,自然に温かくなるのを待ちましょう。
リラックスしてくると血液の循環が良くなり,手先足先まで心臓からの温かい血液が行き渡るようになります。
日光浴などのイメージを活用することもあります。
夏場は初めから温かいので,それだけで十分です。
冬の寒いときには,暖房の効いた部屋や,風呂上がりに行うと効果が上がります。
第3公式「心臓が規則正しく打っている」
心臓に疾患のある人,心臓が気になる人はこの練習を省略します。不安や緊張を高めてしまうからです。
意識を左胸に向けます。
はじめは仰向けに寝た姿勢で,右手を左胸にのせて練習してもよいでしょう。
.第2公式までで落ち着いた心臓の動きが確認出来たら成功です。
第4公式「楽に息をしている」
気管支喘息,過換気症候群など呼吸が気になる人は省略します。不安や緊張を高めてしてしまうからです。
のど,鼻,口,胸部,腹部など息の出入りがわかる部位に意識を向けます。
これまでの練習で安定した呼吸活動が確認出来たら成功です。
呼吸をはやめたり,ゆっくりしようとするとかえって息苦しくなるかも知れません。コントロールせず放っておけたら成功です。
私が30年前、会社員の時、実践していた呼吸法
まずはゆっくりゆっくり呼吸をしましょう。吸っているときはお腹が膨らんでいき、はいているときはお腹がへこんでいきます。
心の中で数をゆっくり数えながら呼吸をしましょう。
例えば1,2,3,4で吸って、5,6,7,8ではきます。
まずは無理なく呼吸できるリズムで行いましょう。慣れてきたら吸っている時間よりもはいている時間が長くなるようにしてみましょう。
たとえば1,2,3,4で吸って、5,6,7,8,9,10,11,12ではきます。おへその数センチ下あたり(丹田と言います)が吸っているときは膨らんでいき、はいているときはへこんでいくのを感じましょう。慣れてきたらはいているときに丹田にちょっと力をいれてみましょう。
体をゆっくりゆすってみましょう。全身の力が抜けて気持ちいいと心の中でつぶやきます。フレーズはお好みで。最初はなかなか力が抜けないかもしれませんが気にせずに。
まずはここまでで十分です 数分程度トライしてみましょう
第5公式「お腹が温かい」
糖尿病の人は,薬物療法との併用で低血糖になる可能性がありますので主治医と相談した上で行います。
胃・十二指腸潰瘍があったり,強い痛みを伴う胃炎がある場合には, 治療が終わってから,あるいは症状が緩解期に入ったことを医師に確認した上で行います。
妊娠中の人は省略します(特に8ヶ月以上).妊娠中毒症をひきおこす可能性があるためです。
胃のあたりに意識を向けます。はじめは仰向けに寝た姿勢で,手を上腹部(みぞおち付近)にのせて練習してもよいでしょう.乗せた手の温かさが胃のあたりまで伝わるような想像を働かせて行いましょう。元々温かい部位なので,かすかにでも温かさが感じられたらよいでしょう。
第6公式「額が心地よく涼しい」
頭痛,てんかん,その他頭部に疾患のある人は,この練習を省略します。不安や緊張を高めてしてしまうからです。額に軽く意識を向けます。
「頭寒足熱」状態でスッキリと訓練を終えることが出来たら成功です。ここちよい空気の流れをイメージしてみるとよいかもしれません。
今まで、いろいろな認知行動療法の解説書に目を通してきましたが、認知行動療法には相性があります。本を見ながら、いろいろ自分で試し、自分にあった方法を見つけることにちょっと時間を割いてみる価値(self-management実践のため)は十分あると思いますが、高額な自己啓発???心理療法???認知行動療法???セミナーに勧誘するあやしげな民間組織をネットでよく見かけますのでくれぐれもご注意ください。